25/05/2026
JB-PRO装着済みの方も、ご検討中の方も。
かなりマニアックですが
「セッティングの参考書」
とも言える、とても参考になる内容です。
これは永久保存版ですね♪
※ 5000文字オーバーの長文なので、ゆっくりお時間のある時にお読みください。
2026.5.24 美浜サーキット
天気:晴れ
セッティングマシン:JB64イメージオンBOSS号
ドライバー:山田英二プロ
タイヤ:ADVAN AD09 F:215/45R16 R:205/45R16
サスペンション:JB-PRO
ヒート① 気温:22℃/路温:39℃
[スタートセッティング]
冷間内圧(kPa):前後260
バネレート:F10K/R14K
減衰調整:F-15/R-5(全20段調整中、前締めを“0”としたダイヤル戻し数)
車高:F610mm/R620mm
ピットイン:アンダー傾向とリヤの突き上げ感の報告。
[ダンパー減衰:F-15→-20へ変更]
ヒート1終了。【54”599】
温感内圧:FL:280/FR:270/RL:270/RR:270
山田プロ:「タイムは狙えるがシビアすぎる。コブシひとつ程度の舵角を増した方が乗りやすい。」
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[リヤバネレート:14K→12Kへ変更]
ヒート② 気温:23℃/路温:40℃
バネレート:F10K/R12K
減衰調整:F-10/R-10
車高:F610mm/R625mm
ピットイン:舵角は良好。リヤの突き上げが残るといった報告。
[減衰調整:R:-10→-20へ変更]
ピットイン:リヤの突き上げ感は治まる。リヤのアフタースタビライザーの取り外しによって、さらに良くなる可能性が報告される。
ヒート②終了。【52”724 (BEST)】
温感内圧:FL:300/FR:290/RL:300/RR:290
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[リヤアフタースタビライザー取り外し]
ヒート③ 気温:24℃/路温:46℃
バネレート:F10K/R12K
減衰調整:F-10/R-20
車高:F610mm/R620mm
リヤスタビライザーは装着時した方がバランスは良好との報告あり。
ヒート③終了。【53”299】
温感内圧:FL:280/FR:290/RL:290/RR:290
[リヤスタビライザー再装着]
イメージオン戸松、トライフォースカンパニー森泉での現状の確認走行。
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JB74たらまる号
Dr:山田英二プロ
タイヤ:POTENZA RE005 205/55R16
サスペンション:JB-PRO(F10K/R:14K)
バネレート:F10K/R14K
減衰調整:F-16/R-6(全20段調整中、前締めを“0”としたダイヤル戻し数)
車高:F630mm/R620mm
総合的にはノーマル+JB-PROという仕様。JB64イメージオンBOSS号と比べ、トレッドやタイヤも含めてかなりマイルド。街乗りでは十分楽しめるスペックだがサーキットではBOSS号が圧倒。
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JB74かうんたー号 気温:22℃/路温:35℃
Dr:山田英二プロ
タイヤ:POTENZA 71RZ 205/55R16
サスペンション:JB-PRO
バネレート:F12K/R12K
減衰調整:F-13/R-9(全20段調整中、前締めを“0”としたダイヤル戻し数)
車高:F605mm/R620mm
ピットイン:全体的に少し柔らかさを感じるとの報告。
[減衰調整:F-13→-11/R-9→-6]
温感内圧(kPa):全輪300
【50”583(BEST)】
JB64と比べてギヤ比が全く違う。“曲がり感”はBOSS号だが、この先のセッティングが楽しみな一台。
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【総合評価】
会場での挨拶でも申し上げた通り、3年前に美浜サーキットでジムニーの走行を見た際、セッティング可能なシャシパーツ開発の重要性を強く感じました。一般的に、クロカン四駆でサーキット走行を行う場合、多くのドライバーはロールオーバー(重心の高いクルマが傾く・カーブでバランスを崩す・片輪が浮く)などへの恐怖感を抱きます。
特に、
* 車体の大きなロール
* コーナリング中のバランス変化
* インリフトによる不安定感
は、ドライバー心理に大きく影響します。
しかし、それを「根性論」や「一部の上級者だけが扱える特性」に頼ってしまえば、マシンとしての完成度向上には繋がりません。
極端なドライビング技術を要求する車両、つまり、一部の上級ドライバーだけが扱える特性では、せっかく業界の皆さんが支えてきたジムニーによるスポーツ走行文化そのものの広がりも、限定的になってしまうと感じました。
重要なのは「誰もが安心して扱えるシャシバランス」を作り込むことであり、その積み重ねこそが、ジムニー用シャシ開発における本質だと考えてきました。
その思想のもと、セッティングツールとなる「直巻きスプリング」を装着可能とする構造開発に約2年、さらにそれを高次元で制御するダンパー開発に1年、計3年の歳月を費やし、ようやく今回の山田プロによる本格的なセッティング走行を迎えることができました。
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【山田プロ 初のジムニーテスト】
走行開始から数周後、ヘアピン立ち上がりで軽度のインリフト、フェニックスコーナーでは、転倒をも想像させる大きなインリフトを確認。しかし、ピットイン時のタイヤ内圧上昇値(kPa)は、FL:280/FR:270/RL:270/RR:270と、過度な上昇は見られない。
「ジムニーはインリフトしてから転倒側への挙動が速い。」
これは山田英二プロがヒート①の走行後、最初に触れた評価です。
これまでF10K/R14Kというバネレートに対するユーザー評価は「コーナーが一気に安定した。」「乗りやすい。」というものが圧倒的に多い中、なぜ山田プロはインリフトしたのか。
しかしその後は、インリフトしないレベル、車両反応や荷重移動の限界を、アクセル操作によって姿勢を変化させながら確認しているように見えたため、のちに山田プロに確認すると、「大きくインリフトした後は、インリフトすることを想定して進入するようになるから、探りながら走るようになる。」といった内容の回答でした。
次にヒート①での改善点[コブシひとつ程度の舵角を増した乗りやすさ]をつくるためにリヤバネレートを14K→12Kへ変更。その結果、ヒート②ではコーナリング中の一連の動きがより滑らかに繋がり、ベストタイム52秒724を記録しました。
つまり「インリフト」は初期段階の車両挙動確認、いわゆる「限界を探りながらの評価走行」の範囲内であり、初回テストのファーストランとして、その場にいる者すべての想像を遥に超えた、極めてレベルの高い確認作業であったと捉えています。
このように、今回のテストでは山田プロの評価をもとにリアスプリングレートを14Kから12Kへ変更。しかし、
* リアホイール脱着
* リアダンパーロアマウントボルト取り外し
* スプリング交換
* 再組付け
まで含めても、実作業時間は約20〜30分程度に収まり、ヒート間でも十分余裕を持って対応できています。
また、特にリアダンパーの減衰調整ダイヤルを下側にレイアウトしたことはとても効果的で、現場でのアクセス性が高く、セッティング変更の効率向上に大きく貢献しました。
単に性能を追求するだけではなく、「現場で素早く試せること」そのものも、セッティングツールとして極めて重要な“性能”と再認識しています。
また、ヒート①②共にダンパー減衰は-20となりましたが、「現状でも十分な状態」との評価を得たことから、JB-PROが20段調整である以上、セッティングの範囲内と判断しました。
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【レーシングドライバーの評価を必要とする理由】
「究極的なタイムを出すために、マシンのポテンシャルを最大限引き出す能力」
セッティングフロー(流れ)
=「評価→調整→確認」を繰り返すこと。
担当者:
① 開発 = チューナー
② 評価 = ドライバー
③ 調整 = チューナー
④ 確認 = ドライバー
どれが欠けてもセッティングは成立しません。
前述通り3年前のサーキット見学では、ジムニーの挙動を決めるための、シャシ系の基本調整ができない、つまり「セッティング可能なバネレート調整機能」の必要性を強く感じざるを得ない環境でした。
サーキットにおいて、“私自身が速くなること”に大きな意味はありません。
そんなことよりも、多くのユーザーの皆さんに、セッティングによるタイムアップの楽しさを知ってもらいたいという思いがあったことから、そのために、ユーザーに最も近い立場であるイメージオンのデモカーを、まずは速くする必要性を強く感じました。
そして、必要な“セッティングフロー”を実現すべく、3年前に開発をスタート。
今回ようやく、①開発・②評価・③調整・④確認という流れを、実際のサーキットで繰り返し行える段階に達したということです。
今回私が山田英二プロにJB-PROの評価を依頼した理由は、②評価→③調整→④確認を繰り返しながら、JB64イメージオンBOSS号をタイムアップし、集中的にデータを収集することで、今後のセッティングの方向性を決定するための基礎を作ることにあります。
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【ユーザーさんの課題解決方法】
ユーザーの皆さんはそれぞれ自分専用のジムニーを所有し、普段使いとのバランスも含めて仕様を検討しながら、その上でサーキットでのタイムアップを楽しんでいるというのが一般的ではないでしょうか。
元々私は「JB-PROはサーキットでタイムを求めるためのもので、街乗りは考慮していません。」とお伝えしてきましたし、“赤脚”PROシリーズは、今でもその考えに変わりありません。
JB64のノーマルバネレートは確か2K弱だったと記憶していますが、それが仮に2KでもJB-PROが5~7倍のバネレートでありながら、ユーザーの皆さんに乗り心地の評価を求めることは開発屋として出来ません。
一方でサーキットでの旋回性能や調整のしやすさなどはお聞きすることは多々あると思いますが、要するに「セッティング可能な足回りを装着したら、セッティングしまくる!」ことが大事なんです。
山田英二プロは、ユーザーの皆さんがサーキットで扱いやすいセッティングの方向性を、しっかりと導き出してくれました。それを一番体感したのがイメージオンBOSS号ということは、ジムニースーパーラップに参加された皆さんの、共通認識となったわけです。
是非情報のキャッチボールをして、タイムアップに繋げてもらえれば幸いです。
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【場外編:ABS介入におけるハード的対策の検討(美浜サーキットの宿題)】
美浜サーキット帰りのクルマの中では、山田英二プロと「サーキット走行でのABS介入時の危険性と対策」について話す機会が持てました。
山田プロからはABSに対するブレーキ特性とタイヤの関係について、私からはスイフトスポーツの経験から、サスペンション側のハード的なABS対策について意見を出しました。
JB23では比較的シンプルなABS制御、JB64/74では横滑り防止などの総合的な制御は進化していますが、リヤのグリップ低下を検知してABSが圧を抜くという本質については共通しています。
特にJB23はリヤが流れ始めたあとを電子制御が積極的に助けてくれるクルマではないため、跳ねによるABS誤介入が起きやすいともいえます。
[ブレーキ論]
街乗りで“初期から効くパッドが選ばれやすいことを否定的するものではありませんが、サーキットでは、ブレーキは「ドンッ」と奥まで踏んでからリリースすることになるため”奥“での効きとコントロール性能が求められるものです。
このようなパッド特性は、初期制動の強さが過度な姿勢変化の原因となり、ABSの誤介入に繋がるのを避ける効果もあります。
さらに、街乗りとサーキットの違いで重要なのは、ハイグリップタイヤを使用していること。ハイグリップタイヤはブレーキの効きに直接的な影響を与えることも忘れてはいけません。
山田プロからは、サーキットでの高速ブレーキングでABS介入によってコントロール不能状態に陥った危険な経験などもお聞きし、より重要な観点であることを再認識しました。
[サスペンション論]
ブレーキング時は前荷重となるため、リアタイヤの接地圧が低下しやすく、特にジムニーのようなショートホイールベース車では、後輪側ABSが先行介入するケースが見られます。
繰り返しになりますが、ハイグリップタイヤは、タイヤ自体の制動性能が高いため、純正想定を超える強い減速Gが発生しやすく、結果として前後荷重移動も大きくなる傾向があります。
そのため、リアタイヤの接地荷重低下や、リアドラムブレーキ特有のセルフサーボ特性(自己倍力)による急激な制動の立ち上がりが重なった場合、後輪側ABSが早期介入する要因になっている可能性も考えられます。
こうした状況へのサスペンション側からの対策として、リアの伸び側ストロークを更に追加する必要があると考えられます。
つまり路面追従性を高めることで、リアタイヤの不要な接地抜けやABS介入の抑制を狙うという考え方も、セッティング理論としては十分成立するものと考えています。
因みにスイフトスポーツでの経験では、鈴鹿ツインサーキットの最終コーナー手前、40R左の縁石を踏むと2度のバウンドが起き、ABSが介入し、結果的に最終コーナーの進入~立ち上がりで大幅にタイムロスするケースが見られました。
この場合はスズカツイン専用セッティングとして、リヤスプリングをヘルパー仕様に変更し、伸び側ストローク量を増やすことで完全リカバリーに繋げた経験があります。
ジムニーは極めてABSが介入しやすいクルマとして捉え、よりシビアにABSと向き合う必要性を感じました。
このようなことも含め、まだまだ道半ばということです。
一緒に克服しながらタイムアップできることを楽しみにしています。
「ターザン、ありがとう!」