19/09/2026
【ADAS作業レポート】|トヨタ アクア MXPK11
側面修理からPVMへ。最後は「4カメラの映像」まで合わせて修理完了。
今回の車両は、
トヨタ アクア MXPK11/令和8年5月登録
実施作業は側面修理。
修理後の電子制御装置整備として、
周辺監視モニター/パノラミックビューモニター(PVM)
のキャリブレーションを実施しました。
この車両はリヤカメラディテクション機能付き。
そして今回は、最終確認でPVMの合成画像にズレが確認されたため、対象箇所だけで終わらせず、最終的に4カメラすべてを調整しています。
使用した診断機は、
トヨタ純正 GTS+
使用機材は、
トヨタ純正アドバンストパーク用ターゲットセット
(SBDオリジナル加工あり)
3Dレーザー
フラスコエレベーター
土間調整用プレート
です。
⸻
📷 今回のPOINTは「キャリブレーションしたから終わり」ではありません
PVMは、フロント・リヤ・左右のカメラ映像を利用し、車両を上から見たような俯瞰映像を作り出しています。
そのため重要なのは、
診断機上で作業を正常終了させることだけではありません。
最終的に実際のPVM画面を表示して、
4つのカメラ映像がどうつながっているのか?
まで確認する必要があります。
今回もそこを確認すると、最終画像にズレが残っていることを確認。
そこで4カメラを調整することにしました。
⸻
🎯 ターゲットを「置く」のではなく、車両に対して基準を作る
今回使用しているのは、トヨタ純正アドバンストパーク用ターゲットセット。
一部には、実際の作業性を考えてSBDオリジナル加工を施しています。
写真を見ると、車両周囲にターゲットを並べているだけのように見えるかもしれません。
しかし、PVMキャリブレーションでは、
車両中心
前後方向
左右方向
ターゲットまでの距離
ターゲットの位置関係
といった幾何学的な基準作りが重要です。
そこで3Dレーザーを使って基準を作り、ターゲットを配置していきます。
⸻
📐 そして今回、もう一つ重要なのが「床」
ADASキャリブレーションでは、ターゲットばかりに目が行きがちですが、
そのターゲットと車両が載っている床面も作業条件の一部です。
今回は必要に応じて、
フラスコエレベーター+土間調整用プレート
を使用。
写真でも、タイヤ接地部にプレートを使用している様子が確認できます。
車両とターゲットとの位置関係を作る作業だからこそ、
ターゲットだけ正しく置けばよい、ではありません。
車両側の姿勢も含めて作業環境を作り込んでいきます。
⸻
💻 診断機はトヨタ純正GTS+
今回もトヨタ純正診断環境GTS+を使用。
PVMのキャリブレーションを進め、最終的には実際のモニター画面を使って4カメラの状態を確認します。
写真にあるCamera Checkでは、
Front/Rear/Left/Right
それぞれのカメラ映像を確認できます。
さらにターゲットを実際に認識させながら、各カメラの位置関係を確認していきます。
ここまで来ると、
診断機の画面だけを見て作業するエーミングではありません。
実際の車両、ターゲット、床面、カメラ映像。
すべてを見ながら作業を進めます。
⸻
👀 PVMだからこそ「目で見て分かる」
今回の写真で面白いのは、調整前後のPVM画像です。
PVMはお客様自身が日常的に見るシステムです。
ミリ波レーダの光軸値とは違い、
映像のズレは、お客様自身が直接目で確認できます。
床のラインや周囲の物体を見ると、
「映像がつながっているか」
「位置関係に違和感がないか」
が分かりやすい。
だからこそ私たちは、
GTS+で正常終了した=作業完了
とは考えていません。
⸻
🔍 最終画像にズレがあれば、そこからもう一度考える
今回もキャリブレーション後の最終画像を確認したところ、ズレが残っていました。
そこで、
「診断機では終わったからOK」
ではなく、
なぜズレているのか?
どのカメラが影響しているのか?
4カメラの合成状態は適正なのか?
を確認。
結果として今回は、
Front
Rear
Left
Right
4カメラを調整しました。
そして最終的なPVM映像まで確認して作業完了です。
⸻
⚠️ DTC消去でも、一つ気になる画面が
今回のGTS+のヘルスチェックでは、全RoB消去実行後、
HV:ECUからエラー応答
さらに、
メインボデー・照合:RoB消去機能を持たないため消去未実施
という表示も確認しています。
ここも大切です。
「全消去」を押したから、
すべてのECUが正常に消去された
とは限りません。
診断機が返してきた結果を最後まで確認する。
これも現在の故障診断では重要です。
⸻
🔧 側面修理でも、最後は車両全体を見る
今回の入口は側面修理です。
しかし、現在の車両では修理したパネルだけを見て作業を終えることはできません。
修理によって影響するセンサーやカメラを確認し、
必要なキャリブレーションを実施。
さらに、
実際にシステムが作り出している最終画像まで確認する。
今回のアクアでは、その確認から4カメラ調整まで行いました。
⸻
📌 「正常終了」と「正常な状態」は、必ずしも同じ意味ではない
これは私たちがADAS作業で特に大切にしている部分です。
診断機に、
「正常終了」
と表示された。
でも、本当にそれだけで終わっていいのか?
PVMなら、実際の画像を見る。
ミリ波レーダなら、光軸ずれ量を見る。
前方カメラなら、必要な確認作業を行う。
そしてDTCも、単に消去ボタンを押すのではなく、各ECUから返ってきた結果まで確認する。
作業を実行したことと、車両が正しい状態になったことは別です。
今回のアクアも、
側面修理
→ PVMキャリブレーション
→ 最終画像確認
→ ズレを確認
→ 4カメラ調整
→ 最終画像を再確認
ここまで行って作業完了。
部品を直すだけではなく、
電子制御システムまで含めて元の状態へ戻す。
これが現在のADAS修理だと考えています。
#トヨタ #アクア #エーミング #キャリブレーション #パノラミックビューモニター #アドバンストパーク #純正診断機 #電子制御装置整備 #特定整備 #故障診断